嘘や夢であって欲しかった その10 傍聴席の片隅

嘘や夢であって欲しかった その10 傍聴席の片隅

2005/03/11

2005年3月2日----------

 口頭弁論期日(=裁判所に原告と被告が行って、裁判官の前で自分の主張をそれぞれ言うこと)まで後一週間。私は少額訴訟を選びましたので、その日でほとんどが決まります。迅速である反面、控訴(=判決を不服として上級の裁判所へ再審査を求める事)が出来ないためチャンスが1度しかありません。私の今後を決めるとても大事な日です。
 もちろん裁判なんて生まれてこのかた初めての出来事です。そういうわけで、どのような雰囲気なのか予め知っておきたいと思いました。

傍聴するしか無いね、傍聴傍聴!!

 と、いうわけで地方裁判所に行って傍聴(=会議や審理等をその場で静かに聞くこと)する事にしました。
 私の住んでいる地区を管轄する簡易裁判所では月曜日と火曜日だけしか審理(=事実関係および法律関係を明らかにすること。口頭弁論期日も審理の一つ)を行っていないとのことでしたので。

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いやぁ、ここ。車停め放題できるよね・・・

 市街地のど真ん中にデーンとそびえる地方裁判所。そこの駐車場は警備員さんはいないし駐車料金は掛からないしで「なんか悪い事を考えちゃいそう」な作りであります。
 それに輪をかけて駐車場自体が結構ガラガラだったりします。

うぬーっ、「裁判所」という威厳が人を寄せ付けないのでしょうか・・・

 そんな感じで。

 早速ズジャーッと車を駐車して中に入ります。そこの裁判所は高等・地方・簡易裁判所が合体しているところなので中はとても広いのですが、さすがに裁判所ということで味も素っ気も無く、エンターテインメント性はゼロ。刑務所のような感じ(刑務所に入った事が無いのでTVでの印象ですけれど)で寒々しく、部屋のドアが並んでいるだけです。

 以前ここに来た時は「職員さんの食堂で勝手にまぎれて昼食をとった」り、「係員の人に一時間以上愚痴った」りとわけの分からんスケジュールの私でしたが、今回は「傍聴」ということで"粛々"と"堂々"と闊歩する私であります。

なんかここにいるとエラくなったような気がする・・・わ゛だじっ゛であ゛っ゛だま゛イー!!

 思考するだけなら自由なのであります。ハイ。エラくなったと思おうが、エッチな事を考えようが、計略を巡らせようが、自由なのであります。ハイ。


 総合受付の人に聞くと「そこのファイルにありますので」とぶっきらぼうな返事。アンタ出世せんぞ、そんな態度じゃ・・・まぁ、それだから受付の椅子を暖めてんだな、と思いつつ「今日の予定」ファイルを手に取りました。
 今日の予定は・・・PM3:30、PM4:30、PM4:40と211(2階の第11法廷)法廷でなンか民事の事があるらしいです。刑事事件でも良かったのですが、一週間後の私は民事事件の原告ですので、やっぱり民事事件のほうを見ておこうかなと。
 ちなみにその法廷は「ラウンドテーブル法廷」だそうです。ラウンドテーブル法廷とは「丸いテーブルに椅子をいっぱい並べて裁判官、原告被告と囲むように座り、"和やかな雰囲気"のもとで審理をする」のだそうです。

和やかッて言ってもなー、法廷だし・・・戦いの場だと思うんだけれど。

 なんかハナっから温度差を感じちゃうのは私だけでしょうか。

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 ぶっきらぼうな総合受付のオッサンにまた質問するのは癪に触るので、簡易裁判相談センターの受付の人に質問しました。

「あのーっ、傍聴するためにはどうすれば良いんでしょう?」
「傍聴人入り口から入って下さい」
「なにか整理券とか予約とかいるんですか?」
「整理券とか予約は余程の大きな裁判でないと無いです」
「いつ入れば良いんですか?」
「ハイ。お好きな時にドアを開けて入り、お好きな時に出てもらって結構です」

 傍聴する人は勝手に出たり入ったりして良いらしいです。えーっ?! そんなアバウトな・・・。


 さっきの話で「勝手に出たり入ったりしたら良い」とは言われましたが、審理中に出たり入ったりするのはやっぱり気が引けるので、予定時間の10分前くらいに法廷へ入る事にしました。

 211法廷はラウンドテーブル法廷でドアは一つ。傍聴人も原告被告も同じドアから入ります。法廷というよりも会議室という感じがしました。最初の審理では既に先客って言うか、傍聴席にオバちゃんが一人座っていました。

「あ、どうも・・・」

 私はオバちゃんの横を通り傍聴席の一番端っこに座りました。法廷の中はオバちゃんと私の二人きり。オバちゃんは静かに座ったままです。法廷の中はとても静かで蛍光灯の「ジー」という音がひたすら聞こえました。10分間がどれだけ長かった事か。

 とうとう開廷時間が来ました。でも誰も来ません。・・・えーっ、一体どうなってんの?! もしかしてこのままこのオバちゃんと二人きり?!

 開廷時間が5分程過ぎ、ようやく係の人らしき人がやってきました。それから、被告の弁護士さんか代理人さんらしき人がやってきました。
 すると、横にいたオバちゃんが突然ガバッと立ち上がり、ラウンドテーブルの原告席側(左側)に座りました。持っていた鞄の中をひっぺがして書類をテーブルに並べました。

あのオバちゃんは原告の代理人(か、もしくは代理人兼弁護士)だったんだー

 人は見かけによらないもの。もしかしたら君の隣にも・・・というフレーズが頭をよぎりました。

「裁判官、始まりますので来てください」

 係の人が内線で裁判官を呼び出しました。っつーか、とっくに時間が過ぎているんですけれど・・・

 開廷時間10分後、突然奥の窓から人が入ってきました。一同起立したので私もあわてて起立しました。一同礼をして着席しました。どうやらこの「窓から入ってきた人」が裁判官のようです。
 ただ、普通の黒いスーツに黄色いネクタイと「どっかの電気屋の店員さんみたい」な服装です。顔は樫村武明みたいでした。

うぬぬ、なんか法廷のイメージが違う・・・

 そんな不安がよぎりつつ。

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 審理が始まりました。と、いっても、

裁判官:「**さん(原告の名前)、どんな感じでしょう?」
原告側:「そうですねぇ。やはり収入がですね・・・」
裁判官:「xxさん(被告の名前)のほうはどうですか?」
被告側:「うーん、でもそれじゃやっぱり困るんですよねぇ」

 と、言うような感じ。い、イメージが・・・

裁判官:「分かりました。それでは次はいつにしますか?」

 えっ?! もう終わり?

 わずか5分くらいで話が終わり、次の期日の日程を決めて以上終了・・・でした。


 次の審理も、また次の審理も「結局5分くらいの話があって次回の日程を決めて以上終了」という、なんというか事務的と言うか淡白な感じでした。

えーっ、もうちょっと盛り上げてよ! 異議あり!とか待った!とか言ってよね!!

 今まで私はTVの中で繰り広げられる「裁判シーン」やゲームの「逆転裁判」みたいなのを連想していました。しかし、現実の審理は結構淡々としていて事務処理に近いかなぁと。ちょいとガッカリ(おいおい)。

 まぁ、刑事事件じゃなくて民事事件だったから、というのもあるのかなぁ・・・と思ってみたり。